・・・誰もいない。
・・・藍が待っていない。
ゆっくり、お風呂に入るのって何カ月ぶり?
お風呂に入っていると
藍がトコトコやってきて
私が出るまで待っていた。
9月12日は叔母の命日。
叔父は叔母に先立たれてから、毎週、水曜日と土曜日にお風呂と決めていた。
朝食はパンとポテトサラダとヨーグルト。
昼食はお蕎麦かパスタかうどん。
夕食は3日に一度炊くごはんを三回分に分けて、冷凍にして、食べる分だけ解凍してた。
ご飯から、お風呂まで、亡くなった叔母が、「叔母が先に死んでも叔父が困らないように」、生前から、叔父に教育をしていた。
叔父はその忠告を、真摯に守っていた。
お風呂は水曜日と土曜日。
ある、水曜日。私は仕事があるので、顔を出した叔母に頼んで先に帰ってしまった。
気になったので、叔父に「お風呂ははいらないでね、明日(木曜日)に私が入るのを手伝うから」と言っておいたのに、お風呂に入ってしまったのだ。長年の習慣をすぐにはやめられない。
・・・もちろん、脱水症状でお風呂の中で叔父は倒れてしまったのだ。
叔母はパニックになって大騒ぎ。介護なんてしたことがないのだ。
・・・その一部始終を藍は見ていたのだ。
・・・なので、藍は私がお風呂に入ると心配する。
それから、お風呂は真冬でもドアは開けっぱなし。ドアの側にお布団をひいて、藍がそこにいて寒くないように。
夏は藍が暑くないように、ジェルマット。
そのうち、藍を心配したwhiskyまで、お風呂のドアの側で寝るようになった。
・・・藍がちょこっと顔を出すのが愛おしくて、切なくて。
「御本尊厄除弘法大師大開帳奉修」というのが10年に一回あって、前回は平成26年5月だった。この時に「赤札」というものが頂ける。
一枚頂くのに3時間待ちはざら。しかも、並んでも、貰えるとは限らない。
当山貫首が精進潔斎したうえで、一枚、一枚、手刷りされるありがたい「護符」
しかも、他のお坊様ではなくて、私は「当山貫首」から頂いてる。
私、何回も並んで、友達の分も頂いてきてたんだ。
友達のお母さまのガンの手術や、友達のお父様の肝臓の手術etc etc・・・
大事の時にはいつもお分けしていた。
その最後の一枚。・・・私、すっかり忘れていたんだ。
どうして、藍に食べさせなかったんだろう。(←食べると病が治るといわれています)
馬鹿な話と笑われるかもしれないけど。
藍の後ろ姿が「スニフ」に似てたの。今は違うけど。
友達がビスケットをくれた。残念ながら「スニフ」はいなかった。
リトルミィがたくさん。
何をみても、何をきいても、藍ちゃん、藍ちゃんを思い出しちゃうよ。
「すぐ、でるよ」
「藍、ねねちゃんここにいるよ」
大きな声を出しながら、お風呂に入っていた。
・・・もう、藍の寝息が聴けないなんて。
・・・もう、藍が待っていないなんて。
頭が崩壊寸前だ・・・