四七日

・・・誰もいない。

・・・藍が待っていない。

ゆっくり、お風呂に入るのって何カ月ぶり?

お風呂に入っていると

藍がトコトコやってきて

私が出るまで待っていた。

9月12日は叔母の命日。

叔父は叔母に先立たれてから、毎週、水曜日と土曜日にお風呂と決めていた。

朝食はパンとポテトサラダとヨーグルト。

昼食はお蕎麦かパスタかうどん。

夕食は3日に一度炊くごはんを三回分に分けて、冷凍にして、食べる分だけ解凍してた。

ご飯から、お風呂まで、亡くなった叔母が、「叔母が先に死んでも叔父が困らないように」、生前から、叔父に教育をしていた。

叔父はその忠告を、真摯に守っていた。

お風呂は水曜日と土曜日。

ある、水曜日。私は仕事があるので、顔を出した叔母に頼んで先に帰ってしまった。

気になったので、叔父に「お風呂ははいらないでね、明日(木曜日)に私が入るのを手伝うから」と言っておいたのに、お風呂に入ってしまったのだ。長年の習慣をすぐにはやめられない。

・・・もちろん、脱水症状でお風呂の中で叔父は倒れてしまったのだ。

叔母はパニックになって大騒ぎ。介護なんてしたことがないのだ。

・・・その一部始終を藍は見ていたのだ。

・・・なので、藍は私がお風呂に入ると心配する。

それから、お風呂は真冬でもドアは開けっぱなし。ドアの側にお布団をひいて、藍がそこにいて寒くないように。

夏は藍が暑くないように、ジェルマット。

そのうち、藍を心配したwhiskyまで、お風呂のドアの側で寝るようになった。

・・・藍がちょこっと顔を出すのが愛おしくて、切なくて。

「御本尊厄除弘法大師大開帳奉修」というのが10年に一回あって、前回は平成26年5月だった。この時に「赤札」というものが頂ける。

一枚頂くのに3時間待ちはざら。しかも、並んでも、貰えるとは限らない。

当山貫首が精進潔斎したうえで、一枚、一枚、手刷りされるありがたい「護符」

しかも、他のお坊様ではなくて、私は「当山貫首」から頂いてる。

私、何回も並んで、友達の分も頂いてきてたんだ。

友達のお母さまのガンの手術や、友達のお父様の肝臓の手術etc etc・・・

大事の時にはいつもお分けしていた。

その最後の一枚。・・・私、すっかり忘れていたんだ。

どうして、藍に食べさせなかったんだろう。(←食べると病が治るといわれています)

馬鹿な話と笑われるかもしれないけど。

藍の後ろ姿が「スニフ」に似てたの。今は違うけど。

友達がビスケットをくれた。残念ながら「スニフ」はいなかった。

リトルミィがたくさん。

何をみても、何をきいても、藍ちゃん、藍ちゃんを思い出しちゃうよ。

「すぐ、でるよ」

「藍、ねねちゃんここにいるよ」

大きな声を出しながら、お風呂に入っていた。

・・・もう、藍の寝息が聴けないなんて。

・・・もう、藍が待っていないなんて。

頭が崩壊寸前だ・・・