松風の音

上の弟からの仕送り第二弾が届いた。

鏡餅も入ってたところを見ると12月に送るつもりだったのか?

「家から出るな・・・・インスタントラーメンを非常食に送るから。たまにはいいじゃろ」

今回もおこずかい同封。

温泉好きのあたしが旅行にも行けんじゃろ・・・ということで今回も「温泉の素」

「こういうもんはいいもんじゃ」

殺伐としているこういう時こそ、のんびりしろということらしい。

ドリップ珈琲も今回も入ってたけど、昨夜のメールでは

「豆を挽いてるなら何の豆がよいのだ?」

と連絡がきた。

「×××ちゃんのたてるコーヒーは旨かったな。インスタントばっかりだからなつかしい」

大丈夫なんだろうか、弟よ。何かあったんじゃないのか?

「白菜に柚子とちょっと鷹の爪はいってるやつくいたい、親父がつけてたやつ」

キムチと卵を送ったら、白菜が食べたいと言ってきた。沢庵とか蕪とかが懐かしいらしい。手元にべったら漬けにしたのがあるからそれと柚子味噌を送ってやることにする。白菜も漬ける準備をした。

「買うとたかいし、旨くねぇ」

あたしはしみったれたもんしか作れんぞ。弟よ。お醤油色の青春じゃ。

お前たちがいるから火鉢はもう使えないなぁ。

火鉢に炭をおこして、鉄瓶からはいつも「松風の音」がしてた。その鉄瓶でいつも珈琲を淹れてた。

冬はいつも「松風の音」がしてた。それがあたしの冬の音。

明日からは立春。春の始まりだ。蕗の薹が出たら蕗味噌を送ってやろう。