深夜の来犬

先日、久々に逢う精神科医に開口一番

「大丈夫?」

と言われた。

何人も患者を紹介してるから、あたしの噂は聞いているんだろうけど。

あたしが患者じゃないし。薬、いらないし。

自分の頭がヤバそうなら適当に金パブでも飲んでおくわ。

そんなこんなで。座ったまま、スラ太郎と寝込んでしまった昨日の深夜。

足音がすんねん。

ちゃっ ちゃっ ちゃっ・・・・

あっ、トイレ出してあげないと

でも、2階、障子閉めてあったはずなんだけど・・・

キルルンかな・・・

あっ足音が消えた。戻ったのかな。

この辺りは寝ぼけております。

また、しばらくして

ちゃっ ちゃっ ちゃっ・・・

今度はSarahぺっこかな。

でも、Sarahぺっこもキルルンも

トイレの時は「わん!」って一回だけ鳴くんだけど。

身体が痛くて立ち上がれず。

ちゃっ ちゃっ ちゃっ

懐かしい足音

ちゃっ ちゃっ ちゃっ

忘れもしない足音

・・・・・藍だ

トイレに行きたいと自分から廊下に出て

ちゃっ ちゃっ ちゃっ

玄関の前まで行って振り返る

あたしには かわいくて かわいくて

あたしのかわいい毛もこじゃらの生きもの。

あたしの荒んだこころに

藍がいると

景色に色がついていった

毎日が宝物だった。

毎日が永遠のように感じられた。

わかってたのに。

今日は母の命日。

心配して出てきてくれたんだろ。

大丈夫、

もう、大丈夫

いつも、ありがとうね

足音だけでも

聞けて嬉しかった

あたしの宝物

ずっと、ずっと、ずっと

宝物