うちの父親が中華粥をこさえる時、必ず添えられてた「竜の髭」
いわゆる「白髪ねぎ」の事なんだけど、父親は「竜の髭」と呼んでいた。
あたしはこれが一般的な「呼び名」だと思ってた。
横浜中華街の『鵬天閣』の目の前にあった中華屋さんで、いまはもうなくなってしまったんだけど、そこの店主と懇意だった父は「盗むならいいよ」って事で教わっていた。肝心なところは企業秘密だから教えられないけれど、見て真似するのはいいよって事だったらしい。
クラゲの戻し方だとか、饅頭とか、色々教わってきてた。
「白髪ねぎ」にごま油、醤油、ほんのちょっと砂糖。お好みでラー油。
昨日、みぃちゃんからの援助品。
ついでだから、シュナーズ用もつくっちゃえ。
鶏 白菜 人参 朝鮮人参 黒きくらげ 椎茸 クコの実 乾姜
ねえねちゅわ~ん、ちょっこっと、ちょこっと。
既にウィちゅきーが焦れている。白湯スープだけでいくらでもいけるわ。
シュナーズ用も一緒に。白米足して、頂いた貝柱のお粥さんを投入。
この時点では味付けなし。
サラちゃんのこの瞳を見てくだシャイ、いくらでも食べれましゅ。
・・・ちょっと待ってください。
シュナーズ用はお野菜をミキサーにかけて。みょうがを乗せて。
あたし用。鶏ガラ足して、味付けて。
熱は乾姜で飛ばしましょう。貝柱は肺の潤いに。シュナーズ、美味しかったのね。いつまでもお皿を舐めている。
秋になったから、牡蛎粥作ろう。
腎を高めてあげよう。
「竜の髭」・・・白髪ねぎなんだけど、藍ちゃんの「髭」を宝石箱にしまっておいた。
ダイヤモンド類を盗まれた時に、藍ちゃんの「髭」はどこかに行ってしまった。
泥棒にしてみたら、そんなものがしまってあったのも気が付かないだろうけど。
ダイヤモンドなんてどうでもいいから、あたしに藍の「髭」を返してほしい。
「白髪ねぎ」をこさえる度に、想い出して泣けてくる。