Sans Souci(サンスーシー)の女

最近、介護の話題が出る。

そういう年回りだし。

あたしには、いまだに謎なことがあって。

母があたしに笑いかけながら、鼻に詰まったものを枕に並べる。

あたしはオカンがボケちゃったと思って。

そんなことするオカンじゃなかったし。

だけどね、弟に母がいうわけよ、

「最近、お姉ちゃんが笑わなくなった」

・・・それでだったのかな。

あたしを笑わせたくて、枕に鼻に詰まったものを並べたのかな。

低栄養になってボケた風なオカンが突然起き出して、あたしの名前を連呼する。

目の前にいるのに、オカンが探してるのは「3歳くらいのあたし」

切なくて、哀しくて、辛くて。

どうしたら、オカンは「3歳のあたし」を見つけられるんだ。

藍ちゃんやウィちゅきーがあたしを探すそれに似ている。

ブドウ糖を入れれば、脳に栄養が瞬間回るから、急いでブドウ糖を入れるけど、それはオカンを助けたかったからなのか、年食ったあたしの存在に気が付いて欲しかったのか、もう、わからない。なんて自己中心的な発想。

昨日、80過ぎにのオカンの友達から「味噌の紫蘇巻き」が届いた。

オカンの友達には元気でいて欲しい。

あたしの知らないオカンの話を聞かせて欲しい。

あたしの声がオカンに似てきたらしく、電話の声を聞くと涙ぐむ。

どうして死んじゃったんだ・・・と電話の向こうで未だに涙ぐむ。

オカンの肉体は滅んじゃったけど、オカンはまだ生きている。

オカンってすごいな。

死んでからも娘を慰めてくれる。

あたしに笑っていて欲しかったんだろうな。

だから、どんなに苦しくても笑っていようって決めたんだ。

あたしはSans Souci(サンスーシー)の女。

人から「いつも気楽でいいね」

よござんす、望むところだ。

憂いなくて過ごせたらそれに越したことない。

サンスーシーの意味は『憂いなし』