本日はうちの親父様のお誕生日でございます。
正月の御節供はうちの父親がほとんどこさえておりまして、あたしの味は親父様の味でございます。御節供を親戚一同の家庭分のお重を亡くなるまでこさえておりました。
その中でも「八つ頭の柚子煮」が逸品でございましたよ。
これが、美味しくてねぇ。父が亡くなった後も、親戚から「これだけは食べたい」と言われておりました。
昔は外の釜で炊いてましたね。八つ頭ひと箱はこさえてますから、味が染みるのに一週間ほどかかります。少しづつ砂糖を足していき、煮崩さないようにゆっくりと仕上げるのがこつでございました(今回はスーパーでこの「八つ頭」一つしか売っていませんでした。誰も買わないのねぇ)
八つ頭はウィちゅきーの大好物でして。炊いてる最中ワオ~ん、ワオ~ん。カルシウムが通常の里芋4倍。
江戸の御節料理でございます。
慈姑(くわい)のふくめ煮。
くわいは価格が高いのが問題でして。ここ数十年、新年になって価格が落ちたところを、ほんの数個買うのですよ。ですが、今年お里のおかんがど~んと「一箱」送ってくださいまして。うちの親父様が死んでいらいでございますよ。30年ぶり?の「箱くわい」。高価だよ、あたしには買えない(笑)
こちらはキルルンのお気に入り。解毒の効能がありますから、キルルンにはきっとあっているのだと思います。
ちょろぎの梅酢漬け
あたしは梅干しに紫蘇は使わないので、赤くはなりません。
黒豆の甘露煮とちょろぎの梅酢漬け
家にあったシュナーズ用の黒豆だから、新物ではないので柔らかくはなりませんでした(泣)
黒豆とちょろぎのマリアージュ。甘いのと酸っぱいので調和がとれております。冬の季節に「黒い物」を食べるのには意味がございます。薬膳などでは五行が重要になりますから、冬の色が指し示す「黒(腎)」を養生しませんと、春(肝)に問題が出てくるのでございます。
冬は鹹味が必要になりますよ。ですから冬に醤油味のものを食するというのは理にかなっているのです。醤油は鹹味、そして「黒」ですから意味があるのです。
季節のものを季節に頂く。節会のものは節会に頂く。
意味がないわけではないと思います。
考え方は人それぞれ。あたしは父親のやってたことを真似してるのに過ぎません。
ただ、あたしは自分が動けなくなるまでは、けじめとしてこさえていきたいと思います。
ちなみに
こちらの雑煮は母方の雑煮になります。これにかまぼこと三つ葉が入ると江戸前になります。
鰹節と昆布、椎茸で出汁を取り、鶏肉と小松菜、最後に焼いた各餅の上によそいます。元旦の朝、祖父があさまだき台所でせっせとこさえてくれておりました。母の実家・・・江戸の伝統なのか知りませんが、元旦の朝の雑煮は男衆がこさえるのだそうです。一昨年亡くなった母方の叔父もあたしが幼い頃によくこさえてくれました。
父の五行の味、祖父、叔父の江戸の粋を通すのが、長女のあたしの「筋」
古くて強情なところは「父」譲りなあたしでございます。