シモーン、雪はお前の襟足のやうに白い、
シモーン、雪はお前の膝のやうに白い。
昨日、雪になるかと思いましたよ、あたしゃ。
祖母は雪の中亡くなりました、だから、どうしても思い出してしまうんですよ。
上はうちのおばあちゃまたちでございますよ。おばあちゃま繋がりでございますね。
シモーン、お前の手は雪のやうに冷たい。
シモーン、お前の心は雪のやうに冷たい。
あたしの大好きなおばあちゃまでございますよ。ウィちゅきーは大好きなあなたにそっくりでございます。
だから、ウィちゅきーにあなたの輪郭を探してしまいますよ。
あたしはおばあちゃまにそっくりな女の子が欲しいんでございます。
雪を溶すには、火の接吻、
お前の心を解くには、別れの接吻。
雪はさびしげに、松の枝の上、
お前のひたひはさびしげに、黒かみのかげ。
シモーン、お前の妹、雪は庭に眠つてゐる、
シモーン、お前は私の雪、さうして私の恋人。
今日は雪だそうでございます。
おばあちゃまがたは暖かくお過ごしくださいね。
あなた方の『輪郭たち』はあたしの傍で暖かくしておりますよ。
「シュナーズ お前たちは私の雪、さうして私の恋人」でございます。
(堀口大学訳「月下の一群」より ルミ・ド・グールモン『雪』)