地獄変

先日、ある創作者が自死された。

私はその作品自体を存じ上げないし、作品自体を拝見していないので『創作物』そして『二次創作物』に関しての感想を書くことは控えさせていただく。

日本国民であるなら「言論の自由」が保証されている。

第29条 日本臣民は、法律の範囲内において、言論、著作、印行、集会及び結社の自由を有する。

『自由権』のもと何をどう考え、どう伝えるか、その自由の権利を持っている。

が「人を言論によって傷つけて良い」ということにはならない。

「自分は傷ついている」という発言は可。

「誰の発言によって『傷ついたか』」は不可。

究極のところ発言した人物の『品位』『良心』『人格』が問題になってくる。こればかりは『法律』ではどうにもならない。

「言論の自由」の元、SNSなどで噂が一人歩きするということもある。

こうなってくると、日ごろからの『言動』や『行動』が物をいう。

普段から「あぁ、あの人だからね、さもありなん」という人は例えその事が「嘘の噂」だったとしても、そこで「裁判」を起そうと「あぁ、今回はそうだったかもね」で終わってしまう。

普段から他者に対して真摯な態度を取っていたとしたら「たまたま勢いで話ちゃったんじゃない?」で終わる。

立場ある人、影響力を持つ人が必ずしも『人格者』というわけではない。

まして権力者に対して一作家が事を訴えるには自死しかなかったのかということも理解できなくもない。

芥川龍之介の「地獄変」という話がある。元は「宇治拾遺物語」より「絵仏師良秀家の焼くるを見て悦ぶ事」(これも龍之介くんの「二次創作」と言えば「二次創作」なのよね)

なぜか、思い出されて頭を離れない。

「創作物」の扱いというものはとても難しい。「原作」を越えても越えなくても。

ご冥福をお祈り申し上げます。

「地獄変」 芥川龍之介 集英社文庫