職業に貴賤なし

うちのオトンが常々言ってたのは

「職業に貴賤なし」

まっ、国営の職業あっせん所の親方だったからな。

後輩の里奈ちゃん。

去年、庭先で仔猫を拾いよった。

異常なくらいのきれい好きで、とても「汚い病原体の塊」と暮らすなんて、あいつの中坊の時の事を考えたらありえんことだった。

その「汚い病原体の塊」にどうやら、「魂」を持ってかれたらしい。

まっそりゃそうだ。仔猫は「心の隙間」にするっと入ってくる。

身体も頭も弱いあたしのかわいい後輩。

そんなあいつでも「一生懸命」と「素直」なところと「美人」なところは、やつのセールスポイントだと思ってる。

その里奈ちゃん。

猫の足がおかしい・・・と言えばライン。

猫のお尻の様子が変・・・と言えばライン。

・・・その猫たちを食わせるために働きに出てる。

難病抱えながら。

昔のあいつだったら、絶対にプライドが許すさないだろう「職種」

「金銭を得る為だけにやる仕事」と「自分の主義、理想が金銭に繋がる仕事」と二種類あっていいんだよとずっと言ってきた。

自分のやりたいことの為に「金銭を得るためにだけやる仕事」を胸を張ってやればいい。

職業に貴賤なんてないのだから。

でも、あいつの身体が心配なので、少し仕事をまわしてやることにした。

以前よりはマシになってるだろ(笑)

がんばれ、里奈ちゃん。

扶養家族がいるんだからね。