ドアの向こう 襖の向こう

現状のあたしはお風呂に入るのが怖い。立てなくなってしまうから。

お湯を少しだけ入れて溺れないようにしておかないと15㎝でも人はおぼれ死ぬ。

以前は藍とウィちゅきーがいつもお風呂の側であたしを待っていたので、お風呂のドアを開けたまま烏の行水。夏はいいけど、冬は藍とウィちゅきーが寒いので布団を敷いて暖かくさせてた。いまはウィちゅきーだけが待ってる。キルルン、Sarah、ミミエルは様子を見にお風呂を行ったり来たりする。

今夜はドアの向こうでウィちゅきーがどうも心配してたみたいだけど、ドアは開けなかった。大騒ぎになるからね。1時過ぎてたし。

鼻息が聞こえてたから起きて心配してたんだろう。

奥の部屋へ戻って一歩入ったら畳があたたかい。

目の前の掛布団にスラ太郎ちゃんがちょこっと座っていて、あたしを見ると丸くなって寝はじめた。

多分、襖の前で寝てたか座ってたんだろう。

・・・犬はずっと待ってるんだろう。

ドアや襖を開けなければわからない。

そこで座っているのを。

一日中か、何時間か、

ずっと、全身全霊で待っているんだろう。

一日くらい?何時間かくらい?

犬にとっては一日は四日。何時間は一日。

犬が一秒でも側にいたいと思うように

あたしも一秒でも多く犬の側にいたい。