七七日忌

泣いてばかりじゃないけど、立っているのもやっとの時がある。

もう49日。まだ49日。

秋っぽいお花にしてもらったよ。

藍がよく似合ってたピンクのお花も。

グリズリー藍にもお庭で落ちた柿を持たせてみたよ。

持つより、藍リンは食べたいよね。梨も柿も林檎も。

藍に食べせてあげたい。お腹一杯、吐くくらい食べさせてあげたいよ。

明け方に吐いたら、かたしてあげるから。

食べ過ぎたら、いつもそうしてたもんね。

去年の今頃はワンオ ワンオって大騒ぎだった。

外から帰ってくると、最後に聴こえてくる藍のワンオ ワンオを聴くと安心した。

耳が遠くなっていたから、他のシュナーズが騒ぎ始めると、藍は起きてくるんだよね。

いつでも、どこの家でも「台所」

藍の育った叔父さんの家はダイニングキッチンだったもんね。

藍の大好きだった場所。

一番好きなのは川崎の私の家の「台所」だったけどね。

・・・夢で藍に会えたらって思ったけど、目覚めたらまた藍とお別れなんて、私は耐えられない。お別れは一度でたくさん。

死んだ翌日に一回だけ夢に出てきてくれたけど、その後は「行くよ」ってドアの前に現れたっきり。

胸騒ぎは去年11月からずっとしてた。10月にはそんな感じ全然しなかったんだ。

だから、少しでも、この小さな幸せが続きますようにって。

何度も、幾度も、そう願ってきた。

でも、やっぱり、「現実」になっちゃった。

「お前がいなければ生きていけない」なんて、よく聞く台詞だけど、人間なんてそういいながら生きていけてしまうもんなんだ。

でも、犬は違うんだよね。

「絶望」したら生きていかないんだよね。

藍は生きようとしていた。思い切り邪魔されたけど。

この門の向こうを越えたら、藍のお家に帰れるんでしょ?

毎日、毎日、何度も、何度も。

私と散歩から帰ってくると、藍はこの門に入ろうとしなかった。

私が家にいる時は、門をすぐに入ったんだってね、先週、初めて聞いたよ。

藍とずっと一緒にいてあげればよかった。

私が仕事にさっさと見切りをつければよかったんだ。

藍と人の命を天秤にかけたんだ。人一人救って、いったい何になったっていうんだ。

誰も藍には感謝なんてしやしない。たかが、犬一匹死んだだけ。

藍を犠牲にしてまで、なんの価値があったんだろう。

この門を開いて出ていくからね。

待たせてごめんね。

生きている間にしてあげれなくてごめんね。