最後の晩餐

明日この世からあたしが消えちゃうとしたら、あたしはうちのおかんが作ったしゃばしゃばのカレーが食べたい。

うちのおかんが最後に作ったのがしゃばしゃばのカレー。

おかんは両胸が癌だったので、両の腕が力が入らず、人参を切るのも苦労してた。あれは10月の終わりだったか11月だったか。

夜遅く帰ってくる下の弟に作ってた。もう20年近く前だけど、なんで毎日、毎晩、つきっきりで介護してるあたしにじゃなくて、好き勝手やってる弟にと思ってた。

最後におかんが珈琲を鉄瓶でいれたのも下の弟の為だった。

明日この世の終わりもあるんだなって思ったら無性にしゃばしゃばのカレーが食べたくなった。そんなこと考えてたら、あれはあたしの為だったんだなってことに気が付いた。

あたしが不憫でカレーをこさえたんだなって。あの頃から布団で横になるってことはなくて、いつも座って仮眠を取ってたから。

明日で世の中終わるかもって思ったら、新しい気づきがあったよ。

それはそれで、あたしは幸せ者だ。

あたしの最後の晩餐はのりの佃煮と見切り品のイカの塩辛。

11月2日・・・夜中になにか起こるとしたらあと4時間。

シュナーズのご飯も済んで、あとは夜の散歩。

元気でいてくれてありがとう。

あたしの傍らにいてくれてありがとう。

明日も明後日も、温かいご飯、暖かい寝床、毎日の散歩、毎日の会話。

そんな日々がずっと続きますように。

みんな みんなありがとう

みんなが 明日を 迎えられますように