傷なんて癒えることない

キルルンとスラちゃん連れて朝んぽへ。

帰り道、年配の男性に

「シュナウザーですか?」

と呼び止められる。

瞬間、まずい・・・!と思ったけど、足でリードを踏んでスラだけ行かせる。

キルルンは抱きかかえて顔を反対側に向ける。

キルルンは動くものに瞬間噛みついちゃうから、避けとかないと。

「うちにもシュナウザーいるんですよ」

と、スマホで開いて見せてくれた。

「あっ二頭いらっしゃるんですね」

毎月ごとにフォルダーに入って、こういう物言いは凄く嫌なんだけど、とても形のいいきれいなシュナウザーが、スタンダートカットされて、どの写真もかわいらしく、そこには「シュナがいた日常」が写ってた。代々シュナウザーを飼っていらしたとのこと。

「去年、二頭とも亡くなりました」

スラちゃんを愛おしいそうになぜて、キルルンには手を嗅がせて、

「いい子だね」

と立ち去った。

降ろしたキルルンはやはり唸っていて、臨戦態勢。

「きーちゃん、あのね、お兄さんところのシュナちゃんね、藍ちゃんところに行っちゃったんだって」

と言った瞬間、目を見開いて年配の男性に向かって走り出そうとした。

やっぱり人の話してることわかるんだ。「藍」のこと覚えているんだ。

年配の男性は涙を溜めていた。人だって犬だって傷つくんだ。

日々、喪失感との闘い。

キルキルに耳のあるシュナちゃんを迎えてあげようか。

いつもキルキルは「ポツン」としてる。藍に向けたような笑顔はあたしにはしない。

藍ちゃんみたいな子はいないけど、キルキルが藍みたいになってあげればいいんじゃないかな。

犬は人が思っているよりずっと悲しみを抱えてる。

朝んぽの帰り道、キルキル抱えて号泣・・・・