ねがいごと

あたし自身は信仰は持ってない。

オカルト系かもしれないけど、スピリチュアル系ではないと思ってる。

あたしはおかんの「介護」をしてたって実感がなくて。

便宜用「介護」って使うけど、当たり前のことをしてたに過ぎないから「介護」って言葉は実は好きじゃない。

漠然とあたしが「楽」になれるのは、おかんが「死ぬとき」だとどこかで思ってたから必死だった。

だけど、心に風が吹くときがある。

それは、強い時もあれば、弱い時もある。

すきま風の時もあれば、生暖かい時も。

家の側の教会の横を通る時、思わず「神頼み」をしてしまいそうになった時があった。

でも、あたしはキリスト教徒ではないし、信仰を持ってるわけでもない。

そんなあたしがねがいごとなんて出来るはずもない。信仰を持ってる人たちに失礼だと思ってたから。

「お母さんを助けてください」

何度、教会に入ってお願いしようと思っただろう。でも、あたしにはできなかった。

「おメダイ」は誰が持ってもいい御守。

守護聖人がいて、道を護ってくれる。

心が折れそうになる時、思わず首からかけてしまう。

ねがいごとはいわない。

ただ、行く道を見ていてほしい。

それも、ねがいごとだと言われてしまえば、おしまいだけど、

誰かが見ていてくれれば、人は強くなれる。