犬の毛色のことで調べていることがあって。
ヒトと動物の関係学会誌32 『麻薬探知犬の合否に影響する毛色遺伝子』2012年 岸尚代他
↑に面白いことが論じてあって。
そもそも「ドーパミン」と「メラニン」は原料が同じ。
「チロシン」というアミノ酸からできてる。
そう、筍についてるあの「白い粉」が「チロシン」
ドーパミンでもメラニンでも異なる酵素が反応して生成される。
メラニンはシミそばかすを作る美容からした厄介者だけど、メラニンが無かったら色を造り出せない。
さらにメラニンは、色の濃淡を構成する、
1 黒色~茶褐色のユーメラニン
2 赤褐色~黄色のフェオメラニン
の2種類に分けられる。でここで重要になってくるのが「メラノコルチン1型受容体(MC1R)」が活性化するか否か。
この「メラノコルチン1型受容体」を両親から「一つづつ」受け取るわけだけど、この受容体が機能している遺伝子を1つでも持っていれば「濃い色」になり、この受容体が2つとも持っていなければ「薄い色」になる。
ただここでさらに注意しなくてはならないことがあって、被毛が「濃い色」の遺伝子グループでもさらに2つに分類されて
1 2つとも機能しているタイプ
2 1つしか機能していないタイプ
この2種類で被毛の表現型では「濃い色」に分類されるのだけど、これが「性格」に影響してくることになる。
参考にさせていただいた、麻薬犬の合否をみてみると
1 受容体が2つとも機能しているタイプの合格率 40%
2 受容体が1つしか機能していないタイプの合格率 17・5%
この研究では麻薬探知犬の人に対する人態度は上記の1,2の差異は無く、人懐こさや、他の犬との寛容性などに違いはみられなかったそうなのだが、
仕事への集中力、仕事への活発さ、反抗性などに差異がみられたそうだ。
「えっ、反抗性ってなによ?」とさらに調べてみたら、盲導犬とは違い、犬自身の集中力と自分のペースで嗅いでいくということになるらしい。これってショーの「キャラクター」と関係ある??
もちろん、環境要因、食事の影響も多い(チロシンはアドレナリン、ノルアドレナリンとも関係するからこのあたりで集中力の話に繋がるのね。チロシンは食事からとられるから)
ただ色の決定遺伝子をまた別の遺伝子であり、その決定された色の濃淡でバリエーションが生まれる。
謎が謎なところがたくさんある。東洋医学では「色」は「臓器」にも対応してるから、「病気」「障害」すらも「色」が関係してくる。
下の論文も面白かった。絵画に描かれた犬の被毛に触れている。ブリューゲルの「雪中の狩人」
ウィーン美術史美術館所蔵
まだまだ勉強不足。
どうしても解きたい問題がある。無い頭捻ってもなかなか答えにはたどり着けない。