雨の中の「ピエール・ドゥ・ロンサール」
私は薔薇が大好きで・・・というか、母の慰めの為に育ててた。
庭で目を楽しませたらなって、ただ、それだけの思いだった。
薔薇は悪食だから、そりゃ肥料はをたくさん食べる。
オールドローズ、ハイブリットティー、フロリバンダ・・・この三つの性格を併せ持つイングリッシュローズ、花を大輪に大きくきれいに咲かすのは「肥料」が必要、だけど「無肥料」で育てた薔薇の香りには追い付けない。
改良しすぎたものは、本来のものを失ってしまう。
いつの間にか「育種家」も目的が変わってしまう。そんなこと望んでもいなかったろうに。
オールド・ローズの収集家で「薔薇と結婚した男」との通り名をもっていたピーター・ビールズ氏。
日本にない場合はここのナーセナリーからも取り寄せてた。
日本にある場合は、日本の代理店に前の年に連絡し、若木を挿し木にしてもらうか、接ぎ木をしてもらって翌年に「新苗」として増やしてもらう。育種が難しい薔薇はさらに「新苗」を半年から一年、二年して「大苗」に育ててもらって「冬」に購入する。
それも「レーヌ・ヴィクトリア」以外残して全部枯れてしまった。川崎の庭の手入れにいけないから。
母が死んでから、お前たちの為の庭を造ろうと、庭師の孫の私は思っているんだよ。
Raindrops on roses
薔薇の上の雨粒。なんて美しい天上の雫だろう。
映画『The Sound of Music』の中の一曲「My Favorite Things」の冒頭にも出てくる。
「Raindrops on roses and whiskers on kittens バラの上の雨粒と仔猫の髭」
素敵な世界だ。憂鬱だったとしても、この世には美しいものがあるんだ。お前たちの、庭を造ろう。お前たちが遊べる庭を造ろう。
プレヴェールの詩を思い出すよ。
「だが 僕らは地上に止まろう
ときには かくも美しい この世に」