約束が一つだけあった。
「どうか、この子を甘やかさないで下さい、とても頭のいい子ですから・・・」
私の大好きなシュナのお孫ちゃんだった。
「許されるならずっと手元に置いておきたい・・・そんな子です・・・」そう、おっしゃられてた。今なら、その意味がよくわかる。
黒曜石の瞳を持つ「Temptation」という名前を冠した子。
kir。
12月12日の未明から13日にかけて生まれた。
3歳のお誕生日おめでとう。
誰よりも賢くて、誰よりも正義感にあふれてる。
誰よりも高い声で危険を吠えて知らせてくれるね。
いつだって、尻尾はピコピコ、アンテナを張っている。
だけど、私は知っている。突然の物音に吠える時、
本当は足が震えている事を。
あっという間の三年間だったね。
3歳のお誕生日のご飯、何にするか悩んじゃったよ。
今夜は抗生物質を使っていないハーブ地鶏のグリルにしてみた。
kirのお誕生日祝いだもんね。
これなら美味しい香りがkirにも伝わるかな。
kir嬉しそうに食べてたね。
あまり顔に表情を出さないけど、いつだって尻尾はフル回転。
美味しかったんだね。
ね、kir。
急がなくていいから、ゆっくり歳を取っていこうね。
不器用な性格のkir。私のかわいい魅惑の黒曜石。