春、爛漫

春、爛漫。

実はあたしは春が苦手。

虫が動き出すから。

かといって、虫が全て嫌いってわけでもないんだけどさ。

春は一年の中で一番苦手。

母が亡くなって。あたしの世界も終わった。

なにもかもが無色で、まったく音のない世界。

酒だけ飲んでた。

春が大好きだった母。あたしには春の色はまったくないものになっていた。

数年後、叔父が亡くなって、藍がきて、あたしの止まっていた時間が動き出した。

少しづづ色がついて、音が生まれて、香りが満ち溢れて。

藍があたしの全てだった。

よもぎを摘んで。

桜見に行って。

藍はもうとおくに行ってしまったけど、お前たちといられる春はこころが爛漫。

いっしょに散歩して、お花見して、お寿司を食べて。

お前たちはなんて愛おしいんだろう。

春の一刻を楽しもう。